近年、仕事のストレスや家事、親の介護が大きくのしかかり、更年期症状が早まっている女性が増えているそうです。
かく言う私も40代前半でありながら、最早プレ更年期の症状がしっかりと出始めています。
特に顕著なのが毛髪!
女性は一般的に肌のケアは若いうちから一生懸命やりますが、髪や頭皮のケアについてまではあまり気にかけず、ケアし始めた頃には既に手遅れ、ということも少なくありません。
そうなってしまう前に、女性は何故更年期になると抜け毛が増えてしまうのか、その原因と対策について今日は学んでみましょう!
女性の更年期抜け毛の主な種類と特徴

電車やバスなどに乗って、40~50代と思しき髪の薄い女性たちを見かけたことはありませんか?
髪が少なく地肌が広範囲に渡って見えてしまったり、全体的にボリュームが無くてペッタンコになっていて、表情も随分老け込んで見えますよね。
髪は女性の美しさや若々しさ、元気を象徴するものです。
たとえ顔は綺麗でも、髪に問題があると見た目年齢は一気に跳ね上がります。
女性の髪の表情を左右するのが、更年期の時期から始まる抜け毛の増加です。
では、その更年期に起こる女性の抜け毛にはどんな種類があるのか見てみましょう。
FAGA(女性男性型脱毛症)

「AGA」という言葉はCM等で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
AGAは男性型脱毛症のこと。
そしてFAGAは女性(Female)のAGA、つまり女性の男性型脱毛症です。
- 部分的ではなく全体的に髪の毛が少なくなる
- 太かった髪の毛1本1本が細くなる
- 進行に気付きにくい
- 男性ホルモン増加の影響を受けている
この4つが挙げられます。
全体的に進行するので、よっぽど自分の変化に敏感でない限り気付きにくいという落とし穴があります。
気付いた時には全体的に地肌が見えやすい状態になっていた、という更年期女性が多いようです。
FAGAの原因になるのは男性ホルモンが優勢になるからで、女性にも男性ホルモンがあるということです。
男性ホルモンであるテストステロンという物質は、人間の脱毛を促進させます。
男性ホルモンが過剰に分泌されないようにすることがポイントとなります。
びまん性脱毛症

更年期女性の抜け毛のもうひとつの代表格が「びまん性脱毛症」です。
「びまん」というのは、一面に広がるという意味なので、つまり全体的に脱毛が進んで薄くなってしまうというものです。
「それならFAGAとほぼ同じでは?」と思われるでしょう。
しかし、びまん性脱毛症の以下の特徴を見れば、FAGAとの違いが分かります。
- 部分的ではなく全体的に髪の毛が少なくなる(FAGAと同じ)
- 生まれて間もない毛が抜けやすい(成長し切る前に抜ける)
- 進行に気付きにくい(FAGAと同じ)
- 女性ホルモン減少の影響を受けている
頭髪の見た目的にはあまり違いが見られませんが、FAGAが成長し切った髪が細くなって抜けるのに対して、びまん性脱毛症はせっかく新しく生えてきたばかりの赤ちゃんの毛が、成長し切る前に無残にも抜けてしまう、というところに大きな違いがあります。
またFAGAが男性ホルモン増加を原因としているのに対し、びまん性脱毛症のほうは女性ホルモン減少が主な原因となっています。
更年期に抜け毛が増える原因とは?

若い時はあんなにツヤツヤで量も多かった髪が、年を経て更年期を迎える頃から何故どんどん抜けてしまうのでしょうか。
一説によると更年期の抜け毛量は、若い頃に比べて2~3倍にも増えるそうです。
たった1日で200本以上抜けてしまうこともザラです。
そもそも更年期とは閉経の前後5年、人にもよりますが45~55歳くらいの期間のこと。
この時期に頭髪や心身に劇的な変化をもたらす原因とは一体何なのでしょうか。
女性ホルモンの変化
更年期の女性の心身に一番大きな影響を与えるのが、女性ホルモンの減少です。
女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、両方とも卵巣から分泌されます。
この内、髪の成長や維持に力を発揮するのがエストロゲンですが、コラーゲンなどと同様に、年を経るにつれてこれらの大事な成分は体内で作ることができなくなってしまいます。
これにより血行不良や栄養不足となって頭皮が衰え、髪が細くなったり抜けたり、ツヤが無くなってパサパサになるのです。
生活リズムの悪化によるストレス

女性ホルモンの影響以外にも、生活リズムの悪化も更年期女性の抜け毛量に影響を与えます。
女性の45~55歳くらいというと、様々な変化がある時期ですね。
子供の受検、親の介護、仕事で要職に就いて忙しい、そんな日常で生活リズムが悪化している人も多いのではないでしょうか。
忙しい女性にとって、栄養豊富な食事を準備したり体力を温存するために早く寝るなんて、なかなか難しいですね。
そうこうしているうちにどんどんストレスが溜まって心身共に下降していき、代謝が落ちたり血行が悪くなっていきます。
当然頭皮環境も悪化しますから、良い野菜が良い土のある環境でしか上手く育たないように、髪も栄養不足でしおれてしまうのです。
家族や仕事など周りのことで精一杯になるのは大事なことですが、自分のために使える時間を確保しないと髪の毛の変化も見落としてしまうのが、更年期女性のジレンマです。
シャンプーや白髪染めなどが合わない

これまでいろいろなシャンプー&リンス、ヘアカラーを使って、その都度髪に変化を感じたことはありませんでしたか?
遺伝や生活リズムなどによって頭皮や髪の性質はひとそれぞれですから、万人に合うヘア商品というものはありません。
特に敏感肌タイプの人は、商品によって違いを如実に感じることでしょう。
自分に合わない成分が既に判明している人はもちろん、今使っている商品に変えてから髪のコンディションが悪化したのなら、その商品の中にあなたに合わない成分が入っているのは明らかですから、使用をすぐに停止した方が良いでしょう。
最近はノンシリコン、ボタニカル、オーガニックなど、より髪に良い成分が調合されたシャンプーも増えているので、それらのシャンプーを試して違いを確認してみましょう。
更年期抜け毛のためにできる5つの対策
更年期女性の抜け毛の原因が分かったところで、ではどうしたら実際に抜け毛のスピードを落とすことができるのか、具体的な対策をご紹介します。
シャンプーの仕方にポイントあり!

シャンプーの仕方って、皆意外と我流を貫いているものですよね。
シャンプーをあまり重視せず、良い成分がたくさん入っていそうなリンスやトリートメントを熱心にやって、その成分の恩恵にあずかるためにきちんとすすぎを行わない人もいるようです。
まず、頭や髪を洗う時にしっかり意識して欲しいポイントが5つあります。
- 抜け毛の量を左右するのはリンスよりシャンプー
- ゴシゴシ洗うのはNG
- 髪よりも頭皮を洗うことを意識する
- シャンプーを付ける前にお湯で予洗いする
- しっかり洗い流す
シャンプーの最大の役割は「汚れを洗い落とすこと」です。
見た目を重視するあまり、髪そのものを綺麗にすることに意識が向きがちですが、実際に大事なのは頭皮の清潔さです。
頭皮は汗や皮脂、ホコリがたくさん!
それらを綺麗に除去しないと、雑菌が繁殖して頭皮環境が悪化し、毛穴が詰まって細胞が呼吸し辛くなってしまいます。
髪にとって大切な畑である頭皮を健康に保つためにも、髪より頭皮をしっかり洗うことを意識しましょう。
その際、勢い余って爪を立ててゴシゴシ洗う人がいますが、頭皮に傷がたくさん出来、更に状況を悪化させ、結果的に抜け毛を増やしてしまいます。
必ず指の腹を使って優しく、ゆっくりとマッサージしながら洗うようにしましょう。
また、シャンプーを付けるまえにお湯で数分予洗いすることが重要で、この予洗いによって実は半分以上の余計な汚れが落とせるのです!
ちょっとお湯で濡らしてすぐにシャンプー液を付けるのはやめましょう。
シャンプー後はしっかりと時間をかけてお湯で洗い流します。
すすぎ残しがあると、ケミカルなシャンプー成分や皮脂や雑菌の残骸がそのまま残ってしまい、せっかくのシャンプーが水の泡になってしまいます。
ヌルヌルしてないなと思っても、更に数分すすぎを続けましょう。
サプリやイソフラボンを取り入れた食生活

外からのケアも大切ですが、やはり新しい髪の細胞を作ったり髪に重要な栄養を補うためには、内側からのケアもポイントになります。
更年期の女性は毎日忙しく、栄養を摂ることも疎かにしがちですね。
でも「今日食べたものが10年後の身体に影響する」という言葉もあるように、未来の身体のコンディションは今の食事が作り出すという意識は大切です。
更年期に減ってしまう女性ホルモンは、食事である程度補うことが出来ると言われています。
女性ホルモンを補ったり、髪に良い役割を果たす成分をまとめました。
成分名 | 働 き | 食品 |
---|---|---|
イソフラボン | エストロゲンと同様の働きをし、健康な髪の成長や維持を司る。 | 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳、おから等) |
たんぱく質 | 髪の主成分であるアミノ酸を多く含む。 | 肉、青魚、卵、乳製品 |
亜鉛 | ケラチンを合成して髪の太さやコシを保つ。 | レバー、海藻、アーモンド |
ビタミン | 特にA・B・C・Eが大切。Aは細胞の酸化や老化を抑える。Bは細胞の代謝促進、再生、血行改善。Cは髪に重要なコラーゲンを作る。Eは血行促進。 | レバー、魚、卵、乳製品、緑黄色野菜、柑橘類 |
フコイダン | 海藻類に含まれる多糖類で、毛乳頭細胞が正常に活躍するのを助ける。 | 海藻類 |
毎日これらの食品をバランス良く摂ることはなかなか難しいので、各成分にフォーカスしたサプリメントなども上手に活用することをお勧めします。
悪い生活習慣を見直そう

髪もお肌もボロボロの女性は、大抵生活習慣に問題があります。
夜更かし、睡眠不足、飲酒、喫煙、運動不足、忙しすぎるなど、思い当たることがあるのではないでしょうか。
若い頃と同じような生活を続けていたら、一気に身体がボロボロになってしまいます。
悪い生活習慣を少しずつでも改善し、細胞を若返らせましょう。
女性専用育毛剤で頭皮マッサージ

抜け毛に本気で悩む女性たちの多くがたどり着く育毛剤という選択。
近年、女性専用の育毛剤商品がたくさん増えてきました。
始めるまでは疑心暗鬼で、「どうせ効果なんて無いに決まってる!」と思っている女性も多いようです。
それまで乱れに乱れたヘアサイクルを正常にするには少なくても3か月はかかるため、すぐに効果がないと諦めてしまう女性は早とちりです。
じっくり使い続けることで頭皮環境が整い、血行も促進されて抜け毛を減らしたり、発毛に寄与してくれます。
また、女性用育毛剤を使う時に重要なのが、髪に吹きかけるのではなく頭皮に成分を行き渡らせること。
遠くからシュッシュとスプレーするだけではいけません。
髪の根元に到達させ、その後時間をかけてゆっくり優しくマッサージすることで、結果は随分と変わってきます。
AGAクリニックや婦人科でホルモン補充療法

自力での対策ができず、経済的に余裕のある人は、髪の悩み改善を専門とするAGAクリニック、正確にはFAGAクリニックに通うという選択肢もあります。
ドクターもスタッフも女性率が高く、美容サロンのようにお洒落な癒し空間になっているクリニックが多いです。
薄毛のタイプに合わせて投薬や洗浄、マッサージ、植毛など様々な治療が行われます。
婦人科でも投薬によるホルモン補充療法を行ってくれるところがあります。
身体への負担が少ない漢方薬処方を希望する女性が多いようです。
いろいろと自分で対策を講じても良くならない場合は、一度専門家の目から見たアドバイスをもらってみると、一気に視界が明るくなるかもしれません。
まとめ
いかがでしたか?
忙しく動き回る女性の皆さん、これからはもう少し自分を大切にする時間を増やしてあげることも必要ではないでしょうか。
抜け毛が増えているのは、身体がSOSを発している証拠です。
自分の分身でもある髪を少しでも失わなくて済むように、今日から早速、自分を労わる毎日を始めてみましょう。
時々、日々のご褒美にヘアサロンでヘッドスパを受けに行くのも良いですね。
髪が健康になるということは、全身も健康になっていることと同じです。
健康な髪を手に入れると同時に、身体の健康も手に入れましょう!